このように繁殖者はインブリード、ラインブリード、アウトブリードあるいはアウトク ロスを用いて血統の組合せ、つまり配合を考えるわけですが、上述したように基本は インブリードまたはラインブリードであります。 インブリードの利点としては、クロスした犬の遺伝形質が遺伝されやすいことですが、 同時にその犬の弱点を受け継ぐことにもなりますので、それなりの危険性がともなうこと は当然であります。これに対してアウトクロスの場合はいろいろな血が混ざることで活力 が生まれますが、同時に血統的な特徴を拡散させることにもつながるわけですが、極端な インブリードによって優れた系統や一族が滅びてしまう例が多いことも事実で、アウトク ロスやアウトブリードを時にとり入れながらインブリードを行うという方法を考慮すべきで しょう。 配合のパターンとしての4分の1異系導入という手法をとる組み合わせも、このような時 に重きをなすかも知れません。すなわち、その血統の4分の3は優秀系統の組み合わせ で、4分の1は異系によって活性化をはかる方法です。過剰なインブリードによって弊害が 出てくるのを未然に防ぐ方法でしょう。 イギリス、アメリカ、そして日本においても、このところ極めて強いインブリードによる 配合が数多くみられることに、そろそろ警鐘を与える時期にきているのではないのかと 思われます。 強いインブリードによって生まれてくる一胎のなかに、欠陥のある犬が出ても、ただ1 頭優秀な犬が出ればよいとする繁殖方法ではなく、一胎仔すべてがそろって健康で、特別 な欠点の少ない、標準的なタイプであることが望ましく、それが理想といえましょう。 ともあれ、我らが愛するパグ犬の種属の健全な発展のために、繁殖者をはじめ、個々の 愛好者たちが心して理想に近づけるようにしたいものであります。
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